2011-08-11 「花陽浴/袋吊瓶囲無濾過原酒美山錦」
「花陽浴」は「はなあび」と読む。
「花陽浴/袋吊瓶囲無濾過原酒美山錦」がうまい。いや甘い。
美山錦ってこんなにうまかったのかとびっくりするうまさ(甘さ)なのである。
庵主のように量が呑めないのにお酒が好きという呑み手にはお勧めの一品である。
ただ甘いだけのお酒なら面白くなんともないが、この「花陽浴」は酸味が締まっている。
「酒は酸味だ」というのが庵主のうまい酒の見分け方である。
酸味が締まっているというのは、味わうに値する主張のある酸味だということである。
その酸味のうまさを上手に言葉にできないのは庵主の技のなさによるのである。
その味わいを言葉にできる才能を文才と呼ぶのだろう。
庵主は非才なのである。
その酸味の妙〈たえ〉なるうまさを言葉で伝えられないのがもどかしい。
酒場に行って、それを呑んで欲しいという以外にないのである。
いくら上手にその味わいを言葉にしても、百聞は一見にしかず、百読は一酌にしかず、である。
自分の舌で体験した味わいでなければ意味がないからである。
呑み仲間というのは同じお酒を口にした連帯感をいう。その僥倖を共にする仲間のことである。
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裏ラベルには「瓶囲純米吟醸雫生原酒」と書かれている。その看板だけで喉が鳴るのである。
瓶囲〈びんがこい〉である。雫酒である。純米吟醸の生原酒である。自信満々の酒である。
瓶囲=うまい(はず)、雫酒=うまい(はず)、純米吟醸生原酒=うまい(はず)と
うまいの3乗酒なのである。三造酒の対極にある3乗酒なのだから。