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2011-12-23 本日の立ち読み

昔の支那に伯楽〈はくらく〉という、名馬を見分ける調教師がいた。いや、馬喰だったか。
その名声を頼って、自分にも名馬の見分け方を教えてくれと乞う人が訪れたという。
伯楽は、その人を見て、気にいらない人には名馬の見分け方を教えたという。
逆に、気に入った人には、駄馬の見分け方を教えたという。

立ち読みをする時は、庵主は一々書名なんか見ないから、それが書いたあった書名は知らない。
なるほど、世に駄馬の方が数が多いから、数少ない名馬を探すより、駄馬を見分けた方が
実は役に立つということである。ということまでその本に書いてあった。
そこだけ読んで、本を棚に戻したのである。

お酒も、うまいお酒を教えるより、まずいお酒を教えた方が早いのかもしれないが、
馬と違って、うまいお酒は早く呑んでしまわないと、他人に呑まれたらなくなってしまうので
うまいお酒の紹介は急を要するのである。
だから今出回っているこの酒がうまいという言い方になってしまう。すぐ探して呑め、である。

本当は探して呑むまでもない。出合ったならそれを呑めである。お酒を呑み続けていれば、
呑みに行くとそういうお酒がちゃんと待っているようになるのである。それを酒徳という。
実は、酒徳が養われていない人には、そのお酒を探しても手に入らないのである。
いいお酒を呑むということはそのお酒を呑むことではなく、酒徳を養うことなのである。

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もう一つの本には「中身が見掛けより優れている人を気障と呼び、逆に見掛けが中身を上回って
いる人を野暮という。一番望ましいのは中身と見掛けの調和がとれている人である。」と。
これまた書名を思い出すことができない。ぱっと開いた所だけを読んで本を戻したからである。
お酒もその通りだなと、なんとなく思ったものである。本の手触りの良さを楽しんだのである。

by munojiya | 2011-12-23 00:29 | 世話物 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


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