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2012-01-31 ロボットの悲しみ

手塚治虫は、そのロボット漫画でロボットの悲しみを描いた。あの漫画は絶望劇なのである。
機械であるロボットに悲しみという感情はありえないから、それは人間の悲しみなのである。
その悲しみとは人間型のロボットを造ってしまった悲しみのことである。
人間には、できるけれどやってはいけないことがある。

痴漢、強姦、近親相姦の類〈たぐい〉である。
やりたいけれど、やってはいけないこともある。痴漢、戦争、人型ロボット造りである。
「人型の、とりわけ女性型のロボットは、これから必要とされる過酷な老人介護にも使えるし、
人間の女性から相手にされない片端男の性欲を癒すことにも使える福祉機械なのである」。

「原子力発電所の、人間には耐えられない放射能汚染作業にも使えるではないか」。
「それに、ロリコンロボットなら、すぐ劣化する生の女より可愛いし、ずっと賢いし、しかも
丈夫だし、児童虐待にも耐えるから人権侵害にもならないし、といいとこずくめじゃないか」。
もし、そんなことを言ったら、賢者から一喝されるだけである。「馬鹿。いやアホ」と。

スマホのカメラのシャッター音を消すアプリを作った男の理屈がそれだったので笑っちゃった。
「お酒を造るときに粕を出すということは、原料の米を無駄に使っているということである」。
粕を出さない酒造りを研究して実現したらしい。で、呑み手はそのお酒で幸せになったのか。
どうやってそんなお酒を造っているか、その造り手はおおっぴらにできないのである。ケッ。

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スピルバーグの「A.I.」にも、捨てられたロボットの悲しみが描かれていたっけ。
人型のロボットは、実現したときには人間をより不幸にするだけだということなのである。
天馬博士の悲しみがそれである。
痴漢、強姦、近親相姦も、実現してしまった人はより深い悲しみに苛まされるようである。

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後段のそういうお酒は、「猫またぎ」ならぬ、「呑み手またぎ」なのである。庵主なら呑まない。
いいかい、お酒はそのアルコールが美味いのではなくて、その生気がうまいのである。
アルコールがうまいという人は、アル高といって今日では病気ということになっている。
牛骨粉みたいな酒を呑んで体が喜ぶわけがないのである。人はロボットではないのである。

by munojiya | 2012-01-31 00:18 | 世話物 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


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