2012-11-12 風邪のひき方
庵主のようにほとんど量は呑まないのに能書が長い人もいる。
一日の仕事を終えて、立ち呑み屋で、コップ酒を一杯あおるというカッコイイ呑み方もある。
食い物のうまいまずいを口にするようなことは男のやることじゃないという美意識がある。
食い物にこだわるのは、女子供のやることだというのである。
たしかに、男が、あれがうまい、これがまずいと言うのを見るのは恥ずかしいのである。
だから「男は黙ってサッポロビール」なのである。うまいものを黙って飲めである。
確かに、一番かっこ悪い男の姿は、食い物が不味いと不平をならしている姿だろう。
食い物があるだけでも有難いのだから、黙って食えというものである。
しかし、一つだけ例外があって、文句をいってもいい食べ物がある。
お酒である。これはまずい酒はまずいといってもいいのである。
なぜなら、それは免許を持ってる人以外造ってはいけないことになっているからである。
口に合わないお酒を黙っていたらいつまでたっても口に合うものが造られないからである。
お酒はどれも同じだという考え方に立ったら、選びようがなくなってしまうからである。
まずいお酒にはどんどん文句を言ってもいいのである。もっとうまいお酒を造れ、と。
普通は、逆にうまいお酒を讃えるというのが紳士の美意識というものではあるが。
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相手を讃えるということは、実は自分の生き方に容喙させないためなのである。
自分の生き方は正しいという確信があるからである。
その確信がいろいろあっても世の中はちゃんと回っているのである。
「真実」とは人の数だけあるということが分かるのである。本の中にあるのではない。