2013-02-09 「玉櫻」のにごり酒
呑めないわけではないが、できれば呑みたくない。
というのも、見た目に反して大してうまくないからである。
荒い布で漉したそれは醪が多く混じっていて白濁しているお酒である。
カルピスの白さを思わせて、何となく甘そうに見えるのである。
しかし、その期待は簡単に裏切られるのである。
今時のお酒は、やたらと辛口と称したお酒が多く、よく言えば切れがいいお酒だが、はっきり
言って庵主にはうまいと思わせる甘さが感じられない間抜けな酒がほとんでないのである。
そういうお酒は庵主にとってはうまくもなんともない呑んでもつまらないのお酒なのである。
にごり酒というのは、無色透明ではなく、白く濁っているお酒をいう。
ほんのり濁っている「ささにごり」から、たっぷり白いドブログまがいの酒まで多様である。
そんな中で島根の「玉櫻〈たまざくら〉」のたっぷ濁っているにごり酒である。
「玉櫻」は、初めて見る酒銘だったが、酒祭りにそれを見たときに、それがにごり酒だという
ことで庵主は当然それを無視したのである。
しかし、店主が、このにごり酒はうまいという一言で転んでしまった。
それが「玉櫻」との初めての出合いである。そのにごり酒は甘くてうまかったのである。