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2013-02-10 「開運」と「鍋島」

静岡の「開運〈かいうん〉」と佐賀の「鍋島〈なべしま〉」である。
庵主が日本酒は本当はうまいお酒で、そのうまさを知ったら人生観が変わると言ったときに、
よくある質問が「今一番うまいお酒はなんですか」という愚問である。
その質問をしたくなる気持ちはよく分かるが、答えようがないのである。

「今、一番いい歌はなんですか」とか、「今一番面白い映画はなんですか」と訊かれても
答えられないのと同じである。
いずれも、数多くの歌や映画知っていればいるほど答えられなくなる。
むしろ、一曲しか知らないとか、一本しか知たことがないという方が即答できるのである。

「いま、一番うまいお酒はなんですか」と訊かれても、庵主はうろたえないのである。
その回答を用意してあるからである。自信をもって断言するのである。
静岡のお酒「開運」だ、と。まずそれを呑んでみなさい、と。そして、付け加えるのである。
佐賀の「鍋島」を勧めたら、呑んだ人が「こんなうまいお酒は初めてだ」と感涙した、と。

いずれも「真実」ではあるのだが、それを喧伝〈けんでん〉している以上、念のため、最近の
それを味わってみたのである。「開運/純米無濾過」と「鍋島/特別純米」である。
が、庵主の期待しているあの「うまい」という味わいが感じられなかったのである。
あれっ、庵主の口が奢ってしまったのか、はたまた味覚の劣化〈老化)が進んでいるものか。

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とはいっても、これを読んで、その二つのお酒が駄目になったと即断されてはいけない。
どちらのお酒も、まだ呑んだことがないのだったら躊躇わず呑んでおきたいお酒である。
お酒の味わいの好き嫌いを言う前に、凛としたお酒のうまさが味わえるからである。
うまいまずいを言うのは、真っ当なお酒の味わいを知ってからのことである。

by munojiya | 2013-02-10 23:58 | 酩酊篇 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


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