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2013-03-24 日本酒の教科書

映画〈ふりょうぶんか〉の学校というのがある。
映画の作り方を教えている学校なのだろうと庵主は邪推して、おっと“賢察”しているが、
学校では、映画は教えられないということもまた確かなのである。
お酒学校というのがあったとして、そこに通えばうまいお酒が呑めるようになるか。

そんなこと、ありえないからである。知識だけではうまいお酒との縁が結べないからである。
映画を“学ぶ”には、映画館に通うことだといったのは伊丹万作である。
映画館こそが映画の学校だというのである。出合わなければ映画じゃない。
まずは数を見ないと、すなわちどんな映画があるかを知らないと始まらないからである。

では、お酒の学校はどこにあるのか。
居酒屋に、格好よくいえば酒亭に通うしかないのである。
どういうお酒があるのかを知らないことには始まらないからである。
しかし、闇雲に呑んでも運が悪いと普通酒ばかり呑んでいたということになりかねない。

そこで基礎知識を得るために便利なのが教科書である。お酒の全体像を知ることができる。
日本酒の教科書は、文部省(庵主は古い人なので)ではなく「dancyu」が出している。
いま出ている3月号がそれである。特集では「辛口」なるお酒用語の貧困を取り上げている。
まずは一読して、さっそくそれを呑みにいくことである。さあ、酒亭〈がっこう〉に通おう。

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初めて飲んだとき、グラスの向こうに光るものを感じた[貴]』(同誌046頁)。
一升じっくり付き合える酒ですよ[天青]』(同047頁)。
いい言葉である。お酒が見えてくるような珠玉の言葉である。経験に裏付けられた言葉だ。
いいお酒は呑み手を詩人にする。“核心〈しんじつ〉”が明瞭に見えるようになるのである。


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by munojiya | 2013-03-24 01:07 | 酩酊篇 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


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