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熟成酒

日本酒の古酒というと
庵主は以前なら
紹興酒のような色の、そして味わいの
かっこよくいえば老ねた(ひねた)お酒を思いうかべたものである。

いまは違う。
売れ残りの古酒とは別の
熟成酒と呼んだ方がいい
味わいがあることを知っているからである。

さらに
両者ともことなる
日本酒という範疇を超えて
酒という世界における美酒といっていい酒があることも知っているのである。

日本酒は造ってから1年以内に呑みきって
翌年のお酒を待つという呑み方が
長い間行なわれてきたから
熟成させたお酒のうまさが長いこと忘れられていたのである。

形式的には
造ってから1年を超えたお酒は古酒ということになる。
長く取っておいたお酒は
老ねてくる。

老ね香(ひねか。あるいは、ひねこう、と読む)である。
庵主は藤原紀香が好きなのでひねかと読む。
その老ね香が好ましい感じの時には熟成香というのである。
正体は同じでも人間の都合で益鳥とか害鳥と呼ぶのと同じである。

庵主は
最近は1年から2年ぐらい寝かせて置いたお酒がうまいと
思うようになった。
若いお酒もきれいだけれどその頼り無い味わいが物足りなくなってきたのである。

長く取っておいたお酒で
うまくないのはただの古酒
うまくなったのは熟成酒と
庵主は使い分けたいような気がするが一般的ではない。

一般的ではないのと同時に
熟成酒という言葉もそのうまさを言い表す言葉としては
いまいち魅力的ではないのである。
なんだかご老体を思わせる年寄りといった感じがするからである。

熟成酒は
人間で言うならば
老齢というのではなく、
矍鑠というべきお酒なのである。

酸いも甘いも知り尽くし
清濁合わせ呑む
善も悪も超越した
大人(たいじん)のお酒なのである

「黒松翁」(くろまつおきな・三重)平成8年大吟醸。
数年の熟成を経て味は複雑にしてうまくなっている。
低温で取っておいたのだろう酒の色はほとほんど透明に近い。
甘くて、しっかり深みが感じられて、お酒のうまさたっぷりという貫祿がある。

次に出てきた「天寿」(てんじゅ・秋田)1987年大吟醸は
色も飴色で老ね香を感じるがそれがかえって魅力になっているお酒である。
うまいかといえばそうともいえないのだが奥を感じさせるのは老獪な酒といおうか。
この酒の前にあっては「黒松翁」の平成8年もまだ子供なのである。
Tracked from うさぎきょうのほろ酔い日記 at 2005-10-21 00:29
タイトル : 9BY〜長期熟成酒
更新をさぼっていたから書くことが溜まってるんですよね・・・・火曜のことです。 楽酒之会でお世話になっているmrbn酒店さんの3代目さんと4代目さんがウチの蔵にお見えになりました。 ウチの生原酒を10種類ほど唎いてもらったところ、3代目さん、熟成タイプがお好み? 急遽、純米吟醸の「9BY」を冷蔵庫の奥から取り出し、唎いてもらいました。 気に入って頂けたようで14BYとともに試飲用にお持ちになりました。 mrbnさんのお得意さんの感想が楽しみです{/hiyo_en2/} ...... more
Commented by うさぎきょう at 2005-10-21 00:27 x
ウチの蔵のお酒は2~3年熟成させてから出荷する事が多く、だから言うわけではないですが、熟成酒のまろやかな味わいをもっと多くの方に楽しんでいただきたいですね。
時々、硫黄臭漂う 熟成させたのか放置していたのかわからないお酒を「この味がわからないとは熟成酒を理解していない」なんて仰る方がいて、そういう方に限って発言力があるというか・・・、自身の舌よりも著名人の評論をアテにする方が少なくないというか・・・、歯がゆい思いをする事もありますが・・・。
by munojiya | 2005-10-19 01:25 | Trackback(1) | Comments(1)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


by munojiya