人気ブログランキング | 話題のタグを見る

2014-03-27 「野獸の青春」

ピンク映画は、営業上、まずタイトルが先に決められるという。
中身のストーリーには関係なく、客の期待をそそるタイトルをつけるのだという。
「人妻快感悦楽地獄」とか、「女子校生いけない放課後」といった、なんとなくそそられる
タイトルを決めてから撮り始めるから、期待を裏切られてがっかりする映画が少なくない。

一般映画なのに、営業上の理由でタイトルと中身が一致しない映画というのもある。
大藪春彦原作だということで付けられた題名が鈴木清順監督の「野獸青春」である。
中身は、その期待に反して、逆に面白過ぎるのである。登場人物がみんなオカシイ映画だ。
「椿三十郎」で、黒澤明監督は、モノクロ画面に椿だけ赤い色を着けたかったと言っていた。

野獸青春」では、モノクロ画面に花だけが赤く、妖しく、色が着いているのだ。しかもそれが椿。
ビールのCMで、全編モノクロの画面の中でビールだけが麦色に輝いているというのがあるが、
あんな感じである。ウイスキーなら琥珀色というおいしそうな言い方があるが、ビールの黄色を
麦色と呼んでいいものか自問しちゃった。ビールの色をおいしく感じさせる表現はないか。

野獸青春」はカラー映画であるが、プロローグの部分だけがモノクロで、そこで花だけが
赤く咲いている、いや、それが実はストーリーの伏線になっているという怪作である。
ネットでも観ることができるが、日活が出しているDVDの画質は発色がよく、それで見る
と赤い花の妖しさは一層蠱惑的だという。その盤を買って確かめたくなったのである。

-----

上手な人が「野獸青春」を語るとこうなる
「奇妙な仕掛」というタイトルにそそられるのである。
「理屈抜きの面白さ」が満喫できる、「オイシイ作品」なのである。こんな感じにオイシイのだ。
鈴木清順〈すずき・せいじゅん〉の全編モノクロの「けんかえれじぃ」もお見逃しないよう。

今回の製作決定について日活の代表取締役社長佐藤直樹氏は「6000作以上の日活作品が
ある中で、この「野獣の青春」は最も敬愛されている作品の一つです。
我々はジョン・ウー監督に深い尊敬の念を抱いており、彼が海外市場に向け、この映画を監督
してくれることに興奮しています。
(後略)」とコメントしている。』(典拠)。

-----

野獸青春」の、長過ぎる予告篇がこれ。予告編は「野“獣”の青春」になっている。
ネットの世界がなければ、庵主は観る事もなかった予告篇である。便利になったものだ。
英語の字幕付きなので、「江角英明」が「えずみ」ではなく「えすみ」と読むということが
判るのがいい。ポスターはこちら。星ナオミ(右側の人)の写真はその中の登録写真の中にある。

今日は「野獣の青春」を完結させます。いつもはエンディングまで書いてしまいますが、
この映画については、いくつか伏せることにします。「野獣の青春」の場合、エンディングを
知っていては、やはりかなり興醒めでしょうから。
』(典拠)。
「なんとか電話」が聞き取れるかということだけは、知っておいた方が楽しめる筈である。

-----

なぜ、今「野獸青春」なのかというと、
それはお花見映画だからである。
こういうわけである。
「野獸の青春」の季語は春なのである。不可解なタイトルの「青春」の意味はそれなのかも。

by munojiya | 2014-03-27 00:03 | 余外篇 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


by munojiya