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2014-03-28 生まれて初めてお前の為に酒を飲んだんだ

俺、生まれて初めてお前の為に酒を飲んだんだ』(典拠1:04:00)。
映画で、それまで全く酒を飲まなかった殺し屋が、初めて酒を飲んだときのセリフである。
強いウイスキーを一気に飲んだものだから、殺し屋はむせびながら、そう告白するのである。
嬉しそうにそう言うのである。酒を呑む事は一世一代の決断だったのだというわけである。

お前がいなければ、酒を飲むということはやらなかったと言うのである。
その殺し屋には伏線があって、それまで女と酒には一切目を向けなかったという得意な、
いや奇特なキャラクターになっていたのである。映画は、例によって「野獸の青春」である。
殺し屋に酒を飲ませたのは、これ亦生まれて初めて女に目を向けさせた、相手の女である。

自分の組と対立している組の殺し屋の女房がその女である。
相手の組の殺し屋を拉致〈らち〉しにいったアパートでその女を見初めてしまったのである。
人妻である。叶わない恋ということになる。
酒は自分の悦楽の為に飲むものだが、人の為に呑む酒とは一世一代の覚悟をいうようである。

最期に呑むお酒が、人の為に呑むお酒だった人もいたのである。
特攻隊が最期に呑んだお酒がそれである。
水盃である。酔ったら操縦はできないので、アルコールは入っていない酒である。
せめて恐怖心除きのヒロポンは飲ませたのだろうか。庵主は戦争の仔細を知らないのである。
by munojiya | 2014-03-28 00:05 | 酩酊篇 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


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