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2015-01-20 日本酒の「その臭い」について(後篇)

日本酒はうまい、とはいうものの、日本酒には「とある悪臭」があるものがあるのである。
庵主が「あるのである」と、「ある」を重ねて使った時は、皮肉をこめての事である。
この場合は、建前ではそうはいってもねぇ、という感じである。それは嘘だという事である。
問題は、庵主には悪臭としか思えないその臭いがどんな臭いなのかを表現できないという事だ。

その臭いがどんな臭いなのかを人に伝えたいときに、その臭いを表現する言葉が出てこない。
お酒の吟醸香(「ぎんじょうか」、もしく「ぎんじょうこう」と読む)を、「フルーティー」
と表現する人がいるが、たしかにフルティーな香りのものもあるが、本当の吟醸香を上手に
表現できる人はまずいないだろう。その香りに重なる言葉がまだ日本語にはないからである。

たとえば、「赤」ならば、赤と言えば多くの人は大体同じ範囲の色を思い浮かべる事ができる。
そうでないと信号機が役に立たない。信号の緑色を青と認識する人もいるが許容範囲内である。
しかし、吟醸香に関してはそれを言う言葉がないのである。許容範囲内の言葉もないのだ。
蜜柑の香りと言えぱ万人が一様に同じ様な香りを思い浮かべるが、そういう言葉がまだない。

吟醸香というのは、例えば「美女の柔肌をちょうど7センチ離れてかいだときの妙なる香り」
だと言われても、その香りが思い浮かばないのである。
そもそも美女を知らない人には通用しないし、その柔肌をかいだことがない人には想像もでき
ないのである。ということで今回も行数切れになってしまった。とある悪臭については続篇で。
by munojiya | 2015-01-20 02:30 | 酩酊篇 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


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