2015-01-30 「十水」再び
「十水〈とみず〉」である。
去年のうちにちょっとだけ味見してみたところ、それがうまくて、どんどん減ってしまい、
お正月になって、かろうじて残っていたというお酒になってしまった。
燗が効くお酒なのである。
今時のお酒は、冷やして呑んだときにおいしくなるように設計されているのだろう、そういう
お酒を燗酒にすると、ちっともうまくないのである。
下手すると、純米酒でも冷やで飲むより味の厚みがなくなってしまうものさえあるのだ。
厳寒である。寒さがちょっと緩んだかと思うとまた寒さがぶり返す。
この時期、燗酒がうまいのである。しかし、燗をつけたらうまくなるお酒がないのである。
冷やで呑む酒はきどった味わいである。燗をつけるとお酒の本音がでるのである。
燗酒は、まったりと柔らかくなって、ほんのりと甘みが増すお酒が、庵主は好きである。
冷やで呑むより甘くなるというのが必須である。そうでないとうまくないからである。
ただあっためたお酒が燗酒ではない。あたためたときに甘みが広がるお酒が燗酒なのである。
「十水」は、そういう庵主の要求を満たしてくれるお酒だった。うまい燗酒が呑みたい。
それで、再び「十水」を求めたのである。「十水」の燗、いいねぇ。うまいねぇ。
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世間の評価も、庵主と同じだったようである。うまいお酒の評価は収斂するのである。
2014年スローフードジャパン「燗酒コンテスト2014」で最高金賞を受賞したという。
「十水」は、燗を付けたときに、庵主が嫌っている「藁臭」が微かに感じられるのだが、
それを越えるだけのうまさが味わえるから、藁臭が気にならないのである。酒が進むのである。
