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火事見舞い

蔵元で火事があった。
群馬泉(ぐんまいずみ)である。
さいわい人とお酒は無事だったという。
火が出たのは2月5日の午前10時半頃だという。

どうやら漏電らしい。
群馬泉の蔵は
小さいながらも綺麗な蔵で
酒造棟の白壁が美しい蔵だったという。

その白壁も今度の火災で煤けてしまったという。
3時間ほど燃えていたという。
蔵の2階部分が焼け崩れてしまった。
実は庵主は近々はじめて群馬泉を訪れるつもりでいたのである。

「群馬泉」は
酒呑みなら一目置いている酒である。
その燗酒には定評がある。
めったに出会えないお酒だが庵主もそれがあるとついまず燗を頼んでしまう。

蔵元の火事と聞いて
庵主は例によって不謹慎なことを考えていた。
火事見舞いというのがある。
「火事見舞い」と書いた熨斗をつけた一升瓶を2本携えて心配しにいくのである。

ところで、
蔵元が火にあったときは
やっぱり
そこの蔵のお酒を包んで持っていくべきなのだろうか。

それとも
とるものもとらず急いで伺ったという気持ちを表すために
自宅の近くで買い求めた
大手酒造メーカーのお酒でもいいのだろうか、ということである。

まさか、火事になったときに「松竹梅」はないだろうが。
そんな酒銘のお酒を持っていったら
落語なら
お前さんうちを呪っているのかい、ということになる。

とるものもとらずといえば、
「御霊前」という包みもそうである。
あれは薄墨で書かなければいけないという。
なぜか。

突然のことなので
墨汁が黒くなるまでゆっくり墨を磨っている時間ももどかしく
まだ薄いうちに
いそいで書きつけて駆けつけましたという気持ちからだという。

その伝でいくと「火事見舞い」も薄墨で書くのが正しいのか。
しかし、コンビニで売っている香典袋には
真っ黒なインクで「御霊前」と印刷してあるから
コンビニの仕入部をやっている人の感性はその程度だということである。

手土産をもっていくときは相手の近所の店で買ったものはいけないという。
ましてそれが相手の造っている物なら
土産にならないというわけで、
この場合はやっぱり他のお酒でいいのだろうか。

そういうことを考えると
蔵元には火事になってほしくないのである。
そして群馬泉には
早くその美しい白壁を見せてくれる蔵に戻ってほしいと思う。 
Tracked from うさぎきょうのほろ酔い日記 at 2006-02-09 00:18
タイトル : 火事怖い(>_
ウチの蔵と同じ地区にある酒蔵さんが 火災に遭い、蔵が全焼してしまったそうです。 大吟醸の仕込みが(品評会から逆算するとおそらく)終わったばかりの時期に。 今日はとても風の強い日でした。 瞬く間に、造ったお酒が炎に呑まれていくその無念さは想像を絶するものでしょう。 根強いファンがいる醸造元で 蔵元さんも若い方なので、きっと再建することと思いますが 今年のお酒だけでなくこれから数年先のお酒を味わえなくなってしまったと思うと いち酒飲みとしても切ない限りです(´・ω・`) 頑張って下さいとしか言えないけ...... more
Commented by うさぎきょう at 2006-02-09 00:41 x
人伝で、全焼でお酒もだめになってしまったと聞いたのですが、お酒は無事だったのかな?だと良いのですが。情報があまりないのでやきもきしています。
イベントの時にお会いしたり、若旦那さん(イベント時には自社ブースに自ら花を生けるような粋な方です)が私のブログにコメントしてくれたこともあったりで面識があるので、より気がかりです。

怪我人もなかったそうですし、蔵の方も若いので、きっとそう遠くないうちに再建することと思います。
いち酒飲みとして応援!
by munojiya | 2006-02-08 21:49 | Trackback(1) | Comments(1)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


by munojiya