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2018-04-23 手品も熟成。良く練られている手品

搾りたての新酒(馬から落馬か。強調の重層語としておこう)も美味いのである。
しかし、本当に旨いのはきれいに熟成したお酒である。
手品も、才気溢れる新奇のものも面白いが、熟成された手品の安心して見れる不思議さの方に
庵主は軍配を上げるのである。

まだだれも経験したことのない新奇な手品と、昔からからあるけれど洗練された手品とでは、
どちらを見たいかと問われたら、ためらわず後者にひたりたいと思う根である。
では後者の手品である。
これはほんとうによくできている

常識の裏をかくのが手品なら、その常識の裏をかくのが手品だという常識の裏をかいているのだ。
客が選んだカードが、「デック(一組のトランプ)のトップ(一番上のカード)からは出て
こない」というのがミスディレクション(認識の誤誘導)である。
「上からは出てこないが、下から出てきます」といって、履いている靴から出すのである。

引いたカードがいつ靴の中に飛び込んだのかが全然判らないのである。
手品は、動いている手と反対の手でなにかをやっているという。常識の逆をやっているのだ。
カードを靴から取り出しにいくという動作は、実は逆でカードを靴に持っていく動作なのである。
実はこれ、手品と見せかけた「プラダ」の靴のステマだったりして。その靴が欲しくなったのだ。

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ミスディレクション(だれか、2~3文字で書ける日本語に訳してくれないかな)が上手に
使われている。種を知っても、その巧みさには、ほれぼれするのである。
「上から出てくる手品ではありません」と、客の常識を裏切って、じゃどうするのだと期待を
いだかせて、下から出てきますと、意識を下に持っていかせるのである。

客が引いたカードがトップにあることは予想はできても、そんなことはすっかり忘れてしまう。
そこで密かにトップパーム(これも馬から落馬か。密かでないパームはパームとは言わないのだ
から)していることに気が回らないのである。極端な話、この状況で密かでなくパームしても
客はまったく気がつかない筈である。庵主がそうだったからである。

靴から客のカードを取り出すという動作は、実は、客が引いたカードをパームして靴に持って
いくという動作なのである。
靴の中に一枚のカードが飛び込んでいると見せて、そのダミーのカードを客が引いたカードと
すりかえるところも旨い。靴の崎を客の方に向けているから、すり替えが見えないのである。

しかも、その動作に不自然さがない。手にした靴からカードを引っ張り出すには、だれがやって
もそういう靴の持ち方になるからである。
洗練されている動きに、無駄がない。不自然さがないのに、不思議な現象が起こるのである。
しかも、靴から客のカードを引き出したら、また自動的にセットができるでうまくできている。

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で、結局、見せ物は、若い女の子(これも馬から落馬か。女の子は若いに決まっているのだから)
の手品が見ていて面白いのである。
ただし、若い噺家の噺が聴いていても軽いように、手品に深みはないのは否めないけれど。。
お酒も、新酒の爽やかさは気持ちがいいが、その味わいに深みがないからすぐ飽きてしまう。

マジックの実況中継というのが面白い。いや、可笑しい。
演技中は種を明かせないから、歯に衣を着せた不思議な中継になるからである。
いまやっている技のどこが凄いのかを説明したら種明かしになってしまうからである。
見せ方の工夫や、新しい演出を褒めればいいのかもしれない。
白い玉を指先で増やしたり減らしたり、反対の手に瞬間移動させたりという手品は、だた単に
「四玉〈よつだま〉」とか「ビリヤードボール」と呼ばれているが、庵主は古い人なのでそれを
「シカゴの四玉」と呼んでいる。最初に出合った時の、当時の商品名がそれだったからである。
「四玉」は種が分かっていても見ていても飽きない。むしろ種を知ってて見る方が面白いのだ。

「ファーローシャフル」か、「フェローシャフル」か。
ポンチ先生は、最初に「フェローシャフル」と覚えたから、そっちの方を使っているという。
「アボカド」と呼ぼうが、「アポガド」と言おうが、実用上はどっちでもいいようなものだ。
「シュリンク」と呼ぼうが、「キャラメル包装」と呼ぼうが、である。

by munojiya | 2018-04-23 00:03 | 世話物 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


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