2018-05-12 【手品】「すべてバラバラのカードです」
今時「毎度ばかばかしいお笑いを申し上げます」と言って落語をはじめる噺家はいないという。
ところが、手品ではいるのである。
「種も仕掛けもありません」と言って手品をはじめる人が。
これも、言葉は違うがそれと同じセリフである。つまり、言わなくてもいいセリフなのである。

デックの表を見せてスプレッドしながら、
全てバラバラです』(典拠1:32)。
ここでは、そういう風に見せるという説明で使われている言葉なので、それをそのまま口にする
わけではないだろうが、そのセリフを本当に言ったら藪蛇というものだろう。

お酒に「無加糖」と表示したものがある。暗にこのお酒には糖分(多くは水飴)を使っていない
から混ぜ物のお酒でないのでうまいお酒だといいたいのだろうが、それが蛇足なのである。
それを見たら、呑み手はこう思うのである。
「ということは、他のお酒は砂糖を混ぜて造っているのか。普段のお酒は混ぜ物なのか」と。

昔はお酒に水飴がよく使われていたが、今は醸造用糖類添加のお酒はまず見られないのである。
で、「バラバラのカードです」などといらない事をいうと、客は思うのである。
「じゃ、手品師がやっているトランプ手品は仕掛けのあるトランプを使ってやっているのか」と。
あるいは、「ということは、逆説で、このトランプには判らない仕掛けがあるに違いない」と。

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こちら普通のトランプですね』(典拠0:56)というのもある。
当然、そのセリフを聞いたら、客は思うのである。
「本当に普通のトランプなら仕掛けがあるわけがないから、わざわざ、仕掛けがありません、と
言うって事は実はなにか仕掛けを施してあるのだろう。絶対、それを見破ってやるぞ」と。

手品は、道場破りにきた来た客との対戦ではないのである。
客に、挑発するようなセリフを言う必要はさらさらないのである。
手品は、種を見破るゲームではなく、不思議を楽しんでもらうものなのだから。
「トランプを使った手品をやります」でいいのではないかい。

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by munojiya | 2018-05-12 00:02 | 余外篇 | Trackback | Comments(0)
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