ぷちぷち
なんとかして売上を伸ばそうという努力が結実したのが低アルコール発泡性清酒である。
「一ノ蔵」の「すず音」(すずね)がその代表である。
アルコール度数が8%前後の酒で通常の15度からみるとかなり低い酒である。
しかも醗酵が進まないうちに搾るものか甘味と炭酸が十分に残っている。
だから甘くて呑みやすいことからそれは女の子にも呑めますというのが売りである。
あほんだら、女に酒を呑ませる馬鹿があるか、と庵主は一喝している酒である。
酒呑みは、まず甘いから呑めない。
そのうえ値段が高い。
だから酒呑みは呑まないのではなくて、呑めないのである。
じゃ、誰が買うのかというと酒を呑まない人が買うのである。
このお酒は他の日本酒と違って口当たりがいいですよと騙されて買うのである。
それと庵主のように甘いお酒が好みでお酒を味わうのが好きな人が買うのである。
「ぷちぶち」は「末廣」のそれで造りに技があるのだと社長が言っていた。
庵主はそれらの中では「五橋」の「ねね」が一番好きである。
そのなんともいえない上品な甘さの前にひれ伏してしまうのである。