空腹を満たすのが餌、うまいのが食事
そしてうまい食いものを食事という。
人間が食うのは食事である。
飲み食いしてもうまいと感じなくなったときが寿命なのだと庵主は思う。
日本酒にもうまいお酒とそうでない酒とがある。
そうでない酒というのは餌に近い酒だったのである。
とりあえず酔えればいいという酒なのである。
そういう酒は手軽に造ることが要請される。
手間隙かけてまずい酒を造るのは馬鹿である。
そうでない酒はないよりはあったほうがいいが、
さりとて呑んでも人間を幸せにするほどのものではないということである。
餌と食事を比べて餌の悪口をいってもはじまらない。
その目的が異なるからである。
庵主は食事としてのお酒を語ることにしたのである。
それまでは両者を混同していた。
だから語るだけでも幸せを感じるのは真っ当なお酒は食事の領域だからである。
