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気の抜けたビールはビールか

たとえばビールの定義は何か。
ちゃんとあると思いますが、
しかし、ビールの本義は何かというと
ビールという形をした飲み物ではなくそのうまさにあるのだと思います。

ほどよく冷えたビールを飲んだときに感じる
あの爽快感がビールなのだと思います。
気の抜けたビールという言い方があります。
間抜けな味がするビールということです。

見た目はたしかにビールではあるが、
飲んでもちっともおいしく感じない
ただ苦いだけの液体と化したビールは
すでにビールではないという共通認識なのです。

気の抜けたビールは
はっきりいってビールの死骸です。
似たようなもので、気が抜けてぬるくなったコーラは
ただ甘いだけの砂糖水で呑めたものではありません。

いずれも爽快感がなくなってしまい
ただその欠点だけがあとに残っているというものです。
飲んで飲めないことはありませんが、
それを好む人がいるとしたらかなり不幸な味覚の持ち主だと思います。

なぜ酒を飲むか。
うまいからにきまっています。
酔いが快いという人もいるでしょう。
でもその前にアルコールを含んだ刺激が快感なのです。

ビールに関していえば、
そののどごしのよさと
軽いアルコール度数ながらも
清涼感の心地よさがたまらないのです。

サイダーのうまさの正体は
炭酸にあります。
炭酸の刺激こそが清涼感の元なのです。
ビールののどごしのうまさも炭酸によるものです。

その炭酸が抜けてしまったビールは
ビール本来のうまさがなくなってしまったものです。
肝心な部分がなくなっているビールは
すでにビールと呼ぶにはふさわしくないものなのです。

日本酒もまた同様に本義はうまいということです。
この場合のうまいは好き嫌いによるうまいではなく
お酒の管理がしっかりしているという意味でのうまさです。
日本酒やワインやビールといった醸造酒は管理が命の酒です。

醸造酒は温度管理をしっかりしていないと
すぐ味がくずれてしまいます。
また日に当てたり、長く空気にさらしておいても
味が確実に劣化してしまいます。

ビールでないビールを出したら誰でも気がつきます。
よく冷えてないよとか、
気がぬけているとよと
すぐわかります。

ところがそれと同じような状態の
日本酒がでてきても気がつかないことが多いのです。
庵主はうまいお酒しか呑めません。
管理のいいお店でしかお酒を呑まない理由です。
by munojiya | 2005-05-09 23:16 | 下手物を一杯だけ | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


by munojiya