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たった四杯で夜も眠れず

泰平の眠りをさます上喜撰
たった四はいで夜もねむれず
という狂歌がある。
ペリー来航のときの江戸の騒動を揶揄した歌である。

庵主のお酒もまた
たった四杯で夜眠れなくなるのである。
駘蕩の眠りを乱す極上酒
たった四杯で夜も眠れず

庵主は自覚のない慢性の肩凝りを患っている。
自覚がないのだから普段は患っているという感覚がない。
ところが、どういうわけか
酒を呑み過ぎたときに出るのである。

肩凝りが襲って来る。
慢性なのである、だから芯から凝っている。
それが疼きはじめるとズキズキして気になって眠りにつけなくなる。
本物の肩凝りは夜眠れなくなるのである。

庵主の酒量は
実は肩凝りが出てくる寸前までなのである。
呑み過ぎると肩に来るからである。
とはいえ、いいお酒を呑んだときはつい呑み過ぎてしまうのである。

ただしくは呑み過ぎるのではない。
呑めてしまうのである。
極上酒は
酒自体が肴となって次の酒を呼びこむからである。

山形のお酒「奥羽自慢」を呑む会があった。
出てきたお酒は8本。
グラスは五勺である。
グラスで8杯呑んだら間違いなく肩に来る。

4杯にとどめる。
グラスに半分ずつ味わうのである。
呑める人はグラスにたっぷりのお酒を
ついでもらっている。

庵主はお酒を口にする前にまずじっくり香りをかいでみる。
お酒の匂いからその味わいを心に浮かべてみる。
お酒を呑む前から楽しんでいるのである。
庵主がお酒を呑むときの流儀である。

香りがいいお酒には期待が高まる。
うまいお酒の匂いを知っているからである。
うまいお酒は香りも品がいいのがわかる。
いい匂いといってもきつすぎる匂いであってはならない。

ただ匂いはそれほどよくはないのに
呑んでみたら味はいいというお酒もあるから
人は見かけに、いやお酒もまた見かけによらないのである。
見た目よりうまいお酒の意外性もおもしろい。

「奥羽自慢」の大吟醸は「仁左衛門」という。
「黒龍」の「二左衛門」に対して
東の「仁左衛門」と庵主は呼んでいる。
読み方はいずれも「にざえもん」だが、仁の字が違っている。

さすがに「仁左衛門」である。
このお酒はうまい。
もう一杯頂戴とグラスを重ねたら、
4杯を越えてやっぱり肩に来たのである。
by munojiya | 2005-05-19 22:11 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


by munojiya