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酒の上の雲

お酒を味わうということは
盃の上をそよぐ風を味わうことだといった人がいた。
お酒を味わうということは、煙草のみが自己顕示なのに対して、風雅の心なのである。 
それを口にして酔っぱらうというのはおまけにすぎない。

お酒を楽しむということは盃に映る白い雲に日本人の心をみて慈しむことである。
だから、「酒の上の雲」。
盃に映るお月さまでもいいが、それだとなんとなく色っぽいのがわずらわしい。
お酒は邪心なく、こころよく酔いたいからである。

空に浮かぶ雲を見ていると心は古(いにしえ)に飛ぶのである。
古の日本人(ひと)も同じようにこうして雲を眺めていたのかと思うと
古人と命が繋がっていることと、日本人の心が連綿と続いていることを感じるのである。
米国人なら二、三百年前までだが日本人なら千年前に思いを馳せることができる幸せを。

庵主にとってお酒とは酒の上の雲に思いを馳せることである。
その香り、その味わい、その舌触りに日本人の技と心を確かめることである。
それを呑んで酔いがまわるのは、庵主にとっては蛇足だと思っている。
庵主がお酒を呑むのは酔いが回る前までの瞬間芸なのである。
by munojiya | 2007-08-29 01:59 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


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