若い人
その歳にはすでに肉体は老齢期にはいっているのである。
人間の肉体の若さのピークは十七、八歳といったところだろう。
それ以降は長い老齢期に入るのである。
長い老齢期の比較的早期のことを青年と呼んでいるに過ぎない。
晩期のことを老人と呼んでいるのである。
どっちにしても老退期にあることに違いはない。
違いはないが、長生きすることによって得られることは少なくないのである。
たとえば若いころには分からなかったお酒のうまさが分かるようになる。
分かるというよりは老化に向かう肉体がそのうまさに馴染むようになるのである。
それは老齢期早期の肉体には理解できないうまさなのである。
長生きとは知らなくてもいいことを知ることになるということなのかもしれない。
庵主は今は焼酎のうまさがよくわからないが、
やがてその肉体は日本酒の甘さに耐えられなくなって
焼酎の純粋なうまさに転ぶことになるのだろう。
それまで生きていることがいいことなのかどうかは別にしてである。
