きれいなお酒
日本酒は普通は三段仕込であるが、甘味を出すために四段仕込をすることがあるから
庵主好みの甘い酒かと思ったら日本酒度+10という辛口の仕上げになっている。
大手酒造メーカーのお酒の実力を味わってみるためにわざわざ買ってきたのである。
好奇心から、といったら、ちょっと差し障りがあるか。
口にしてみると全然問題ない味である。
まずくはない。
そして、庵主にとってはうまくもないのが惜しい、何かが物足りないのである。
雑誌でいえば編集長の気合が感じられないさびしさがただよっているといったところか。
でもその酒質はよくできている、変なクセがなくて美しい酒である。
モダンな味わいである、当世風の若向きの味だということである、味が浅い。
その味わいを言葉にすればナイーブなお酒である、ケチをつけるまでもないのである。
クールな味だといってもいい、そつのないお酒だからである。
でも、庵主の心に叶(かな)うものがない、さびしい味わいのお酒なのである。
そういうお酒のことをこれからは「きれいなお酒」と呼ぶことにしようと思う。
きれいな娘(こ)だね、でも、ただそれだけの娘(内面語=お酒)だね。
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美しい酒というのは、美酒とは違いますので誤解のないように。
美しい国というのは前安倍総理がいっていたようにわが国のことであるが、
美国と書くと中国語ではアメリカのことである。
美しい酒と美酒とはなんとなく似ているがそれぐらいの懸隔があるということである。