お化粧美人とすっぴん美人
一升瓶に換算すると3480円相当になるから十分にうまいといえる水準の酒である。
今の日本酒は、一升で2000円前半のお酒は賭け、同後半のお酒はまず安全牌、
そして3000円代のお酒はその味わいの好き嫌いは別にして十分納得できる酒である。
「ひゃっこい」は化粧美人といったところである。
きれいなお酒で、どこといって難はないのだけれど美の趣(おもむき)が浅い。
というよりはわかりすぎてつまらないと言った方がいいか。
すぐわかるものはすぐあきるのである。
というか、わかったつもりになってしまうのである。
そうなるとそれ以上にそのよさを見つめてみることがないから損な酒なのである。
馬鹿な子ほど可愛いと言う言葉があるが、なるほどと思うのである。
一見欠点のある物からその長所を見出せたときに愛着が強くなるということなのである。
「小夜衣」の「地酒工房」はすっぴん美人である。
難はないこともないが、味がある、可愛いのである。
いずれも悪くはないが、庵主は後者のお酒に親しみを感じるのである。
思い入れの違いでそっちの方がよりうまいと感じるということである。