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あなたがいない国

日本語には相手を自分と対等に扱う言葉がないと林秀彦氏が書いているのを読んで
盲点をつかれた思いがした。
たしかに、日本語には、あなた・お前・おたく・お主・貴殿・貴様等々二人称は
たくさんあるが、英語のYOUのように相手を対等と見る言葉がないのである。

日本語の二人称は、これまた数多くある一人称にそれぞれ対応する言葉であって、
相手を敬ったり、見下す関係でしか使えないというのである。
「あなた」というのが比較的上下関係を拭った言葉のようにも思えるが、
ダイレクトメールなどで「あなた様」などと書かれたら素直には受け取れないのである。

商人なんかに、対等に思われたのではなんとなく見下された気がするからである。
しかも、「あなた」に「様」を付けられたものなら揉み手をして付いてこられるようで、
自分にではなく、財布の中のお金に愛想を振りまいているようにしか思えないからである。
だから、正しい日本語では、それを避けて二人称を使わないのである。

法の下(もと)の平等ということから人間はだれしもが平等だと勘違いしている人がいる。
人間の容貌・能力には優劣があるし、長幼という序列があるからそうはいかない。
だから対等な「あなた」を求めることは難しいのだが、だれもが「あなた」になれる席がある。
酒呑みが集まってお酒をたしなむときだけは、みんなお酒の前においては対等なのである。
by munojiya | 2008-07-22 09:52 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


by munojiya