狭い日本、そんなに稼いでなんになる
標語が好きだという点で、日本も口先だけの威勢よさでは引けをとらないのである。
「狭い日本そんなに急いでなんになる」という交通標語があった。
そのパクリである。
世の中にはお金を儲けるのが上手な人がいる。
お金をたくさん稼ぐ人がいる。
庵主の疑問はそうして集めたお金を何に使うのかということなのである。
お金を貯めるのが楽しいのか、お金をかき集めるというその過程がおもしろいのか。
そうして稼いだお金の使い方で庵主が感心するものは寡聞にして聞いたことがない。
もっとも陰徳を積まれているのだろうから庵主の目にははいってこないだけなのだろうが。
庵主はいいお酒には縁があるが、お金には縁がないのでそういう話がはいってこないのだ。
世の中には何のためにお金を使おうというのかわからないがお金儲けの本はあふれている。
お金儲けの本を作ってお金を儲けている人がいるということだけはわかる。
庵主がその手の本に興味がないというのは、さめているからというより、ずぼらなので
お金に対する執着心に欠けているということなのだろうと自己分析しているところである。
庵主は早々と質素の道という日本人の生き方の本線にはいってしまったのである。