生活防衛
来年はまた今年よりも収入が増えることを疑う必要がない時代があった。
それが当たり前だと思い込んでいたのである。
収入が増えるということは心強いことである、楽しいことである、夢があることである。
しかし、いまはそうはいかない。
ボーナスがあっても昔の面影はなく、収入も思うように増えないのである。
しかも、食料品などの生活物価はそれに合わせて下がってはくれない。
つまり生活の余裕が以前よりなくなってきたということである。
景気不景気はタクシーの運転手に聞けという話がある。
タクシーの運転手がそれを一番身にしみて感じているというのである。
長期的景気変動はビール会社に聞けである。
ビールが発泡酒になり、発泡酒がさらに代用ビールになっているのである。
品質はどんどん落ちているのに見掛けは、即ち偽装技術はどんどんうまくなっている。
庵主はそれを文化の頽廃と見ているが如何(いかん)、人が増えているからしょうがないか。
生活費を詰めることを生活防衛と呼んでいるが、それって耐乏生活の偽称なのである。
夢のない生活のことをいうが、いいお酒を呑めば心だけは豊かになれるのである。