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寒酒(かんざけ)

燗酒ならぬ寒酒(かんざけ)である。
寒酒は庵主の造語である。
寒酒というのは、寒中に常温で呑むお酒をいう。
常温といっても厳寒の時分は冷蔵庫の中より寒いからお酒はきりりと冷えている。

そのキリリと冷えているお酒がうまいのである。
そのうまさを寒酒と呼ぶのである。
燗酒がうまいというときに、そのお酒の味わいよりも
お酒を温めて呑むという手間とそのぬくもりが心に叶うことをうまいというのと同じである。

燗酒で一番うまいのは、
造りの最中に蔵元のよく冷えている蔵の中で味わうそのお酒である。
これがうまい。
寒いのである、舌に冷たいのである、そして、それがうまいのである、幸せなのである。

あっかい酒もカンザケ、冷たい酒もカンザケというのはまぎらわしいが、
食い過ぎも過食、食わないのも寡食というから日本語ではよくあることである。
日本人はそれを聞き分けることができるということである。
燗酒と寒酒の両極端に共通する感慨を利き分けることができるということなのである。

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末行の「利き分ける」の利は「口偏に利」の代用漢字で苦汁の選択である。
パソコンでは出てこない漢字なので、わざと誤用したものである。
庵主は日蝕を日食とは書けない、落伍を落後とは書けない、恥ずかしくて書けない。
それでは“漢字が読めない”といわれている麻生総理と大して変わらないではないか、

日食だの落後だのと書く新聞が、総理の誤読を窘(たしな)める資格があるのかと
そっちの方を庵主は馬鹿にするのである、他山の石として反省するならわかるのだが。
誤読は読み方を間違えただけで、書かれている漢字は間違いではない。
しかし日食だの落後だのと書いたのでは、その意味が全然違っているのである。

蒸米をむしまいと読もうが、じょうまいと読もうが蒸米に変わりはないが
それを読みが同じだからといって、虫米とか、浄米と書いたら意味が変わってしまう。
それは日本語の破壊活動なのである、しかもその後に創造がないから未来は暗い。
伝統の破壊を好む性向を左翼と呼ぶが、確信犯だから始末におえないのである。

確信犯というのは、悪いことだと思っていながらそれをやる人のことではない。
それやることは正しいことなのだと信じて行動している人のことをいう。
当人はその行為が犯罪だとは考えていない人のことをいうのである。
そういう人を見ると、いいお酒には出会えなかった人なのだなと、そっと微笑むのである。

by munojiya | 2009-02-03 01:16 | 酩酊篇 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


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