精米歩合100%というお酒がある
精米歩合70%なら、米粒の外側の30%を糠にした米粒ということである。
残っている部分が70%ということである。
精米歩合35%なら、65%を糠にしてしまった米粒ということである。
一口に精米歩合35%というが、それは実に罰当たりなことなのである。
それを100俵の米でやったらなんと65俵の米を捨てることになるのである。アホか、である。
そういう贅沢(アホ)なお酒にはドンと税金を掛けたほうがいいというのが庵主の冗談である。
プレミアム(権威味)を付けて1升10万円でも20万円でもいいのである。ワインなんかに負けるな。
精米歩合と裏表になる言葉が精白率である。落とした糠の割合を精白率という。
精白率30%というのは、すなわち精米歩合70%ということである。
ややこしいのは、精米歩合の数字を小さくすることが酒質を高めることになるので、たとえば
精米歩合を70%から55%にすることは、精米歩合を上げるという言い方をすることである。
精米歩合の高いお酒というと「獺祭 磨き二割三分」が代表的である。精米歩合23%のお酒である。
庵主にいわせると狂気に近い。普通のお酒は70%前後で、吟醸酒は60%以下を条件としている。
低い方では精米歩合100%のお酒「むすひ」がある。米を磨いていないのである。異常の極みである。
酔狂の両極端といっていいだろう。それを真っ当なお酒といっていいものか、意見の別れるところである。
真っ当真っ当じゃないじゃなく、美味しい美味しくないでお酒は判断するべきではないかと思いますが。
真っ当だからって不味くても飲むのも間違いで、真っ当じゃないからって美味しくても飲まないとかだと違和感を感じますね。
真っ当と、真っ当でない、という区別と、
うまいと、うまくない、という評価とが必ずしも一致しないのです。
真っ当なはずなのに大してうまくないお酒はいくらでもあります。
おっしゃるとおり、お酒は呑んでみてうまいと思うものが一番です。
そういうお酒を呑むことが「真っ当」なお酒の呑み方だとと思います。
いろいろなお酒を造る人がいるから呑み手は楽しめるのです。
「むすひ」は、本流と傍流とに分けた時に傍流に属するお酒です。
一つの流れにはちがいありませんが、本流ではないということです。
酒呑みの好奇心をくすぐるお酒ではあります。
造り手の遊び心が伝わってくる楽しいお酒だと思います。