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庵主が一番気に入っているセリフ

映画の名セリフといえば、
かつて、和田誠氏が「話の特集」に粋なセリフを取り上げて連載していたことがある。
単行本になっているはずだから、探せば今でも読むことができると思う。
それとは別の本で庵主が笑ったのは、東映任侠映画の名セリフ集である。

映画館の暗闇の中でそれを耳で聞いたらちっとも違和感はないが、
白昼にそのセリフを活字で読んだら爆笑物なのである。意識過剰の自己顕示欲である。
酔っぱらっているときなら呑めるが、素面のときには恥ずかしくて呑めないお酒である。
酔っぱらうということは、へんなお酒が出てきても幸せを感じることができるということである。

映像空間=映画館とは、酔っぱらい装置なのである。
そこにはいったら、どんなセリフでもどんと来いである。
ケバイセリフでも、ダサイセリフでも、気障なセリフでもそこでは美しく見えるのであ。
映画屋さんの腕の見せ所である。

これは映画のセリフではないが、映画屋さんのセリフでは庵主はこれに頷くのである。
「撮影所に小津安二郎は二人いらないよ」。名セリフである。
松竹蒲田撮影所の所長だったときの城戸四郎〈きど・しろう〉のセリフである。
うまいお酒だとはいっても、似たりよったりのお酒が二本あっても楽しくないからである。
by munojiya | 2009-06-17 00:21 | 酩酊篇 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


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