怖い話 最近聞いた話ではこれが一番
現実に起こった怖い話よりも、
聞く人の想像力を刺激して不安感や恐怖心をつのらせる話の方がずっと怖いのである。
目に見える惨状よりも、想像力に訴えかけて不安感を膨らませる話の方が怖いのである。
最近聞いた話の中で一番怖かったのがこれである。
『脳死者は臓器摘出時に激痛を感じている可能性がある』 ●出所
ね、怖いでしょう。
脳死になる可能性はまずないといっていいのに、その“激痛”を感じてしまうからである。
自分がそうなったら何をされるかわからないという不安がふくらむからである。
想像力が悪い方へ悪い方へと傾いていくからである。
なんてことはない、世の中で一番怖いのは人間のやることなのである。
すなわち自分自身の存在が一番怖いということである。
落語では、この世の中で一番怖いものは饅頭〈まんじゅう〉だという。庵主もそれが怖い。
庵主は、本当はお酒が怖いのである。アルコールは毒だから体にいいわけがないからである。
ただうまいお酒は人の心を惑わせる魔物だから、また心が引かれてしまうのである。
アルコールの毒性は、一番怖い存在である自分自身を忘れさせてくれるからなのである。