まともな日本酒は造らんでもいいと割り切っているお上の意向に逆らって
真っ当なお酒を造ってくれる人たちがいる。 そういう人たちが造ったお酒でよくできたお酒に出会ったときには 庵主は拍手をしたくなる。 お酒を呑んでいて人前で突然拍手をしたら回りの人が迷惑なので、 あとからこうして文章にしてそのうまさを褒めるのである。 その酒造りの姿勢を讃えるのである。 呑んでうまいお酒をきちんと造ってくれる人がいることは日本人の誇りである。 庵主は長く日本人をやっているが 雑誌の特集などで称揚されている日本人の美点には何ら関わっていないのである。 精緻な工業製品を造っているわけではない。 洗練されたデザインを表現しているわけではない。 アニメや漫画は描けない。 歌が下手なのでカラオケもやらない。 なのに日本人の端くれでいられるのは他の優秀な日本人のおかげである。 だからせめてできることといえばいい仕事をしている日本人に拍手を送ることなのである。 ▲
by munojiya
| 2006-10-31 00:49
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お酒をいっぱい呑めるようにみえて
全然呑めない人がいる。 三国連太郎が呑めないという。 小沢昭一も駄目だという。 勝新太郎は豪快に呑んでいるように振る舞っているが、 実は人には呑ませるが自分はほとんど呑んでいなかったということを聞いたことがある。 そして永六輔が全然呑めないのだという。 永六輔は体格もあるし、業界柄お酒が呑める機会は多いことだろうが酒が呑めない。 その永六輔が旅をしていてその土地の人に地酒を勧められたことがあるという。 地酒を勧めたのは宮崎康平だったという。 お酒が呑めませんと答えたら、大盃を持ってきてなみなみお酒をつがれたという。 「お酒を呑むということは盃の上を渡ってくる風を味わうことなんです」と。 地元に来て地酒を知らないのではその土地を知ったことにならないと諫められたという。 永六輔はその大量のお酒の上を渡ってきた風を受けてひっくり返ってしまったのである。 と、永六輔がラジオで話していたのを聞いた。 庵主はその盃のことを永く小さい盃だと思っていたのである、宮崎康平は器が大きい。 ▲
by munojiya
| 2006-10-30 00:21
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大手酒造メーカーと書いていて、ふと馬から落馬ではないかと気づいた。
馬から落馬というのは、言葉の意味が一部ダブっていることをいう。 すなわち、落馬というのは「馬から落ちる」ということだから、 馬から落馬と書くと、馬から「馬から落ちる」という意味になるから馬が重複している。 今の現状とか、 一番最初とか、 話し言葉では全然気にならないが 文字にすると引っかかる言葉遣いのことである。 酒造メーカーは、酒を造るメーカーである。 メーカーというのは造る人のことだから酒を造る造る人になってしまう。 大手日本酒メーカーとか大手和酒メーカーと書くと問題ないのだろうが 言葉の座りが良くないからやっぱり大手酒造メーカーと書くことにする。 酒蔵と呼ぶよりは酒造工場といったほうがいい大規模酒造所のことをである。 餌ではなく食事としてのお酒を工場で造るという発想には無理があるということである。 庵主やうまいお酒が好きな呑み手が大手酒造メーカーの酒を嫌う理由がそこにある。 大手酒造メーカーという呼び方は半分イヤミを込めていう分にはなかなかいいのである。 ▲
by munojiya
| 2006-10-29 00:04
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本田美奈子が病気で若死にしたときに
ラジオで耳にした感涙を呼ぶエピソードを紹介したことがある。 アイドル歌手出身だったがその後も歌の訓練を怠らなかったという。 で、ラジオで流れていたその歌を聞いたのである。 訓練されたはずのそれは全然庵主の心に響いてこない歌だった。 そこには歌の心がなかった。 「歌は語れ、セリフは唄え」といったのは森繁久彌である。 一人楽しく唄っちゃっているのである。 メロデイーが庵主の心の表面を滑っていくだけの唄い方だった。 つまらない、というより味気ない歌だった。 唄っているとしか聞こえない歌だったからである。 もっともラジオで流れていた歌は歌詞が英語だったら意味もわからなかったのだが。 ただテクニックを唄っていたのだなというのが庵主の感想だった。 いい歌もあるのだろうがたまたま耳にしたその一曲には魅力は感じられなかった。 ちょうど大手酒造メーカーのお酒みたいな歌だったのである。 世の中にはその手の酒よりももっとうまいお酒があるから庵主はそちらを好むのである。 ▲
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| 2006-10-28 01:16
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とりあえず空腹を満たせばいいという食い物が餌である。
そしてうまい食いものを食事という。 人間が食うのは食事である。 飲み食いしてもうまいと感じなくなったときが寿命なのだと庵主は思う。 日本酒にもうまいお酒とそうでない酒とがある。 そうでない酒というのは餌に近い酒だったのである。 とりあえず酔えればいいという酒なのである。 そういう酒は手軽に造ることが要請される。 手間隙かけてまずい酒を造るのは馬鹿である。 そうでない酒はないよりはあったほうがいいが、 さりとて呑んでも人間を幸せにするほどのものではないということである。 餌と食事を比べて餌の悪口をいってもはじまらない。 その目的が異なるからである。 庵主は食事としてのお酒を語ることにしたのである。 それまでは両者を混同していた。 だから語るだけでも幸せを感じるのは真っ当なお酒は食事の領域だからである。 ▲
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| 2006-10-27 00:16
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歳をとると変わってくるものである。
いつまでも若くはないということであるが、 新境地が拓けてくるということでもある。 それは未知の悦楽だったりするから長生きも悪くはない。 庵主のお酒はこれまでは呑む楽しみだった。 呑まない楽しみがあるということを知らなかったのである。 これまでは酒で体をいじめるというマゾヒズムの快楽だったのである。 ようするにそんなに量を呑まなくてもよくなったということである。 一般的にそういうことを老化現象というが 美称ではそれを新境地が拓けると表現するということである。 呑んだことがないお酒を見るともう呑めないのが分かっていても呑んでしまった。 それがぐっと我慢できるようになったのである。 呑まないでそのお酒の味わいをあれこれ想像する楽しみを知ったのである。 釣り逃した魚は大きいというがそれと同じ想像力に遊ぶことを覚えたのである。 呑まなくてもお酒は楽しめるということに気づいたのである。 それが我慢と辛抱という言葉がもたらしてくれるより高度の悦楽なのである。 ▲
by munojiya
| 2006-10-26 00:20
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「てめぇ、それでも日本人か」というセリフは喧嘩言葉だから、
大手酒造メーカーにいうときにはそのままでは使えない。 もっとやわらかくいうのである。 「あー、もっとうまいお酒が呑みたい」と。 最初からアルコール度数を14度まで下げられたお酒を呑まされてもインパクトがない。 おっと、これは庵主の好みであるからそれが呑みやすいという人がいてもおかしくない。 というのも、いつも言っているように庵主はお酒は量が呑めないので、 はじめから度数が高いお酒でないと口がさびしいのである。 ピアニシモからはじめてフォルティシモで終わるという呑み方ができない。 最初の2、3杯で呑めなくなってしまうからである。 だからまともなお酒でないとだめなのである。 お酒みたいなものでは物足りないのである。 大手酒造メーカーの技術はたいしたものだといういう人がいるかが、 庵主はその恩恵を感じたことがない、そのうまいお酒の実物を殆ど呑んだことがない。 だから、そのたいしたものだという技術はお酒みたいなものを造る技術なのではないかと 庵主は邪推しているのである。 ▲
by munojiya
| 2006-10-25 00:22
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日本は「にほん」とも読むし「ニッポン」とも読む。
どっちでもいいのである、いいかげんなのである、わが国の気風は。 どうでもいいというその適当なところがわが国の美点である。 何でも一つだけしかないというのはつまらないからである。 やくざ映画という虚構の世界が人気を呼んだことがある。 いいやくざと悪いやくざがいるという設定からしていい加減なのである。 いいやくざがいるわけがない。 堅気の道を外れているからやくざなのだから。 悪いやくざからさんざんいじめられた主人公は 最後に我慢の限界を越えて悪いやくざの親分をたたっ切る、殺人の勧めである。 それで観客はすっとするのである、重ねた我慢を解放する快感にひたれるからである。 主人公と一緒に我慢し続けた自分を褒めたたえ、悪を倒してすかっとするのである。 主人公が悪いやくざに突きつけるのがタイトルに書いたセリフである。 日本人のところは力(りき)をいれてニッポン人と読む。 日本人の正義(自分にとって都合のいいこと)はこの一本のセリフに込められている。 真っ当でないお酒を造っているメーカーに言ってやりたいセリフなのである。 ▲
by munojiya
| 2006-10-24 00:46
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酒の呑み方に美学はあるか。
人それぞれといったところでいいのだろうと庵主は思う。 気障もいれば、いぎたない人もいる。 味わって呑む人もいれば、酔っぱらうことが楽しいという人もいる。 庵主のように酒が呑めないのに嗜む人もいれば アルコールは飲んではいけないといわれてもやめられない人もいる。 飲んではいけないというのは回りの人が迷惑するからというのが理由である。 本人はアルコールのことを全然迷惑だとは思っていない。 お酒は自腹を切って呑むのがいちばんおいしいのだが、 それが出来ないときもある。 儀式のときに出てくるまずい酒や 酒の味に頓着しない先輩がおごってくれる酒である。 格式のある酒器を整えて味わう人もいるが、 庵主は普段は1個300円の60ccの日本酒グラスで、ほとんど貰い物で呑んでいる。 そして、いまアルミ缶に入ったお酒をちびちび呑むうまさを知ってしまったのである。 一口にも満たないそのお酒を舌に乗せて味わううまさが気に入っているのである。 ▲
by munojiya
| 2006-10-23 00:46
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世の中でご親切に忠告されてもそれにこたえることができないものが二つある。
「お酒は楽しく適量を」と「ご利用は計画的に」である。 二つとも、一度はまったら、わかっちゃいるけどやめられないのである。 それらは実は親切でいっているのではなくて暗にそれを勧めている言葉なのだと知る。 煙草をやめるときは吸っている本数を徐々に減らすという方法は駄目なのだという。 庵主は煙草を吸う習慣がないのでそれが本当かどうかは知る由もないが、 正しい禁煙法はすっぱり吸うことをやめてしまうことであるという。 別の言葉でいえば、きっぱり足を洗うということである。 中途半端が一番いけないということである。 お酒をやめられるか。 無理してやめることもあるまい、と思ってしまう。 呑めるうちが華なのだと思うからである。 借金はやめられるか。 人にお金を貸すほどお金が余っているのならそれを有効利用するのは合理的だと思う。 お金は天下の回り物、回ってきたものを拒む理由はあるまい、と。 借金してお酒を呑むようになったら上の二親切を仇で返すことになるのである。 ▲
by munojiya
| 2006-10-22 09:42
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