お酒の不当表示シリーズ(その5)
安い普通酒の原材料表示を見ると
たとえば、「原材料 米・米麹・醸造アルコール・酸味料」と書かれている。
これがインチキなことはいうまでもない。
原材料名というのは水を除いて原料に使われている材料を多い順に並べるものである。

普通酒の中には一升瓶の60%近くが醸造アルコールだという酒がある。
そういうお酒は「原材料名 サトウキビ・米・米麹・酸味料」とするのが正しいのである。
そういう酒を飲みたいかということなのである。
かつてはそういう酒も清酒と表示されていたのである。

国を挙げての不当表示だったのである。
ラム酒を混ぜた酒はいくらなんでも日本酒と呼ぶのはまずいだろうということで、
リキュールと名乗ることができるようになったのは2006年の5月1日からである。
見にくいアヒルの子は、晴れて飲みにくい日本酒風リキュールとあいなったのである。

お酒の表示とは何のためにするのか、呑み手を騙すためではないだろう。
呑み手にそのお酒の正確な情報を伝えるためである。
不当表示を好む造り手は、呑み手に対する誠意がないということなのである。
いや、自分が造っているお酒に自信がないということなのかもしれない。
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# by munojiya | 2007-03-06 00:09 | Trackback | Comments(0)
お酒の不当表示シリーズ(その4)
アル添酒の表示にある「醸造アルコール」というのは不当表示である。
なぜなら、それは実体をごまかしている表示だからである。
「醸造アルコール」は「原料用アルコール」とも呼ばれる。
アルコールを何の原料にするのか。

お酒の原料にするのである。
おい、おいである。
お酒を造るということは結果的にアルコールができることであって、
お酒に似ているアルコールが入っている飲み物を造ることではないだろうに。

お酒のうまさはアルコールの上に浮かんでいる微量成分の調和のうまさなのである。
合成酒が馬鹿にされるのはそれが本末転倒だからである。
酒を馬鹿にしているのではなくそういうものを好んで飲むことを馬鹿にしているのである。
「醸造アルコール」の原料の多くはサトウキビの廃糖蜜である。

だから、それをきちんと「サトウキビ」と表示せよという指摘があるという。
「原材料名 米・米麹・サトウキビ」と表示するのが正しいというのである。
原材料名に「麦芽・ホップ・米」と書いたビールがあるが、
アル添酒はいま流行りのコラボレーション(異種混和)の先取りなのである。
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# by munojiya | 2007-03-05 00:16 | Trackback | Comments(0)
お酒の不当表示シリーズ(その3)
お酒の「製造年月日」は殆どの人が騙される詐欺表示の実例である。
すくなくとも堅気の人たちの常識からは逸脱している表示だからである。
酒が造られた日付ではなくて、それは瓶詰などの製品化した日付だからである。
それで困るのは、お酒には熟成酒があるからである。

十年前に上槽したお酒をタンクで取っておいて、
味が乗ってきたので、満を持してここだとばかりに今日瓶詰したら、
製造年月日が2007.3.4になるのである。
知らない人がそれを買ったら、なんだこのお酒老ねているじゃないかということになる。

もっともお酒を知らない人が老ねているという言葉を知っているとは思えないが。
それでも「○年熟成」と書いたラベルが別に貼ってあればまだわかるが、
それもないとなると今の製造年月日の表示では何年寝かせた酒なのかがわからない。
そんな得体の知れないそして役に立たない表示がまともな表示といえるわけがない。

表示というのは、その酒の手の内が分かっている造り手のためにするものではない。
知らない呑み手のためにするものであって、それは明解なものでなくてはならない。
まともな人ならそのお酒が造られた日付だと思う「製造年月日」という表示は詐欺表示だ。
「2007.3.4」製造と表示された1年前に造られたビールを飲みたいと思いますか。
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# by munojiya | 2007-03-04 00:03 | Trackback | Comments(0)
補遺 「本マグロ」の正体がわかった
「本マグロ」の本の意味がわからなかったので
ネットで聞いてみた。
教えてくれたのはいいマグロを売ることを商売にしているサワイリ食品の方である。
その回答を引用する。

「本マグロ」とは、学名の和名では「クロマグロ」と言います。
まぐろ属7種の1品種です。その他6種には、「ミナミマグロ」(通称名「インドマグロ」)、
「メバチマグロ」、「キハダマグロ」、「ビンナガマグロ」、「コシナガマグロ」、
「タイセイヨウマグロ」があり、合計7品種があります。

「本マグロ」とは「クロマグロ」の通称名であり、7品種のマグロ種の代表格として
「本マグロ」と呼んでいるものです。
7種のマグロのなかで、一番価値あるものとして「本」と頭称されているものです。
と、わかりやすく教えてくれた。

本マグロの本は、偽物マグロに対する本物マグロではなくて、クロマグロの通称で、
マグロ一族の本家本元という意味で本と呼んでいるらしい。
お酒の「本醸造」は本家本元というわけではないから、あえていえば邪道だから、
やっぱり、誤解を生じさる不当表示だといっても差し支えはないだろう。
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# by munojiya | 2007-03-03 13:51 | Trackback | Comments(0)
新酒嫌い
庵主の好みの話である。
新酒というのは、はっきりいってうまいお酒ではない。
庵主の好みがしっかり熟成させたお酒がうまいと感じるように変わってきたからである。
新酒の若い味わいでは呑んでいても物足りなく感じるようになったからである。

新酒の味わいは旬の楽しみだろう、旬というよりは初物といったほうがいいか。
味を楽しむ酒ではなく、初物の季節感を楽しむお酒なのである。
初物を楽しむことは日本人の基本行動だから、ちっともうまくないと思いながらも
搾りたての清澄な味わいを愛でることにいささかの躊躇をすることはない。

貶しても呑んでいるのは、実はあるからである、うまい新酒が、搾りたてで甘いお酒が。
新酒はまだ味が固くて呑んでいてもイメージがふくらまないからつまらないのである。
炭酸の刺激がまだ舌に辛く、それが味わいになっていないものが多い。
甘くもなんともないただフレッシュなだけのお酒を呑むのは一興だが一口で十分である。

ところが、新酒にしてすでに酒質がまろやかでうっすらと甘味をたたえたお酒がある。
炭酸の舌の当たりがやわらかいゼリーを含んだような感触のお酒が庵主の好みである。
いうならば早熟なお酒なのだろうが、味がよく見えない新酒の中で、干天の慈雨ならぬ、
新酒の中のオアシスともいえるうまいお酒と出会える喜びがあるから楽しみなのである。
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# by munojiya | 2007-03-03 00:39 | Trackback | Comments(0)
お酒の不当表示シリーズ(その2)
お酒の表示に「本醸造」というのがある。
この表示を見た人の多くは、それが米だけで造ったお酒だと思うのではないだろうか。
というのは、日本酒は米から造るものだという常識があるからである。
今時の食品は、蒲鉾で造った贋蟹肉みたいな商品が数多くある。

お酒にもそういういかがわしいものが数多くある中にあって、
このお酒こそは本物の酒だから本醸造と表示してあるのだと思うのが普通である。
が、しかし、「本醸造」という表示は本という漢字を使った不当表示なのである。
その正体はアルコールを混ぜて造った紛い物のことなのだから。

庵主は長くそういう表示に馴染んでいるから
「本醸造」がアルコール添加酒であることは当たり前だと知って呑んでいるのだが、
初めてその表示を見た殆どの正直な人はいわゆる純米酒だと思うはずである。
醤油で本醸造と表示されていたら、庵主は昔からの造り方をしている醤油だと思う。

いま醤油がどうなっているか知らないが、もしそれが合成醤油だとしたら庵主は怒る。
お酒に「本醸造」と書いてあっても怒らないのはその世界に漬かってしまったからである。
正義感が磨耗してしまっているからである。
ところで本マグロという言葉があるが、贋マグロがあるということなのだろうか。
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# by munojiya | 2007-03-02 00:49 | Trackback | Comments(0)
お酒の不当表示シリーズ(その1)
普通の人がそれを見たら間違いなく勘違いする表示を不当表示と呼ぶことにする。
さらに、見た人が誤解することを前提にした表示を詐欺表示と呼ぶことにする。
表示があっても意味が理解できない表示を不正表示と呼ぶことにする。
その事例が日本酒業界にも多々あるということである。

それらは呑み手のための表示ではなく、造り手にとって都合のいい表示なのである。
だから、呑み手はそのウソを知っておかなくてはいけない。
まずい酒なんか呑みたくないからである。
知ってて呑む分にはいいが呑んだあとに騙されていたと気付くのは悔しいからである。

まず三番目にあげた表示はあっても意味がわからない不正表示の例から。
お菓子の不二家が違反した表示をしていたということで
賞味期限と消費期限の意味の違いを知った人が少なくないのではないか。
賞味期限とはその食品がおいしくたべられる期間で、その後も食べられる状態をいう。

消費期限はもう食えなくなる限界のことだというがその違いがよくわからないのである。
幸いお酒には賞味期限も消費期限も表示をしなくてよいことになっている。
お酒は、大人が自分でその味を判断して味わえという世界なのである。
子供が呑んではいけない所以(ゆえん)である。
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# by munojiya | 2007-03-01 00:02 | Trackback | Comments(0)
いいお酒を造ることは非国民だった(闘6)
放送禁止用語というのがあって、放送で使うにはふさわしくない言葉というのがある。
まず人体の障害をいう伝統的な言葉が差別用語ということで軒並みだめである。
上から、白痴、盲、聾、唖、片手落ち、飛んで、飛んで、跛に至るまで、
それらはすべてそれぞれの部位の不自由な人ということに言い換えることになっている。

だれがそう見做すのだかよくわからないが、それで穏当だと思う。
「座頭市物語」で出入りの時に悪役のヤクザの親分柳永二郎が市に投げつけるセリフ。
「ど盲、こんな時のために今まで飼っておいたのにいざというときに糞の役にも立たねぇ」。
勝新太郎演じる座頭の市の怒りに火を付けるセリフである。

目のご不自由な人といったのなら、セリフにならないが市を怒らせることはなかったろう。
次に職業を軽視した言い方は差別につながるからよくないという。
床屋が駄目で鉄道員がそれなのだという。
高倉健の「鉄道員(ぽっぽや)」は放送禁止用語だったのである。

究極の差別用語といえば「非国民」である。
前掲の「神亀」の蔵元夫人に対して投げかけられたセリフの一つがこうである。
「お国のため、免許を返上し給え。非国民と呼ばれてもいいのか」と威圧されたという。
「非国民」という言葉は使わないようにしないといけない、理不尽だからである。
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# by munojiya | 2007-02-28 09:17 | Trackback | Comments(0)
英霊の使い方(闘5)
陸海軍が向かうところ敵なしで大手を振って歩いていた戦時中の話である。
「酒屋は皆から喜ばれる大切な仕事だから苦しくても続けてほしい」と言い残した
「神亀」の蔵元が戦死した後、残された蔵元夫人に
腰にサーベルを下げた税務署長や地元の酒造組合長は廃業を勧めたという。

女手一つでこの非常時にいつまでも酒造りをやっていけるわけがないというのである。
小さい酒蔵などはなくなった方が徴税の手間が省けてお国のためになるというのである。
国のために殉じた将兵を英霊と呼ぶ。
先の大戦では戦病死した日本の将兵の6割は餓死だったと書いている人がいる。

戦って死んだのではなく食い物も与えられずに倒れていった兵士が多かったのである。
何人かの戦死者が出ると、不利な戦争でもやめられなくなる。
ここでやめたらお国のために死んでいった英霊に申し訳ないというのである。 
商売軍人とか戦争好きの人たちの戦争継続の口実に使われるのがあわれ英霊である。

その無敵用語である英霊のこんな使い方が「闘う純米酒」に書かれていた。
戦死した蔵元の中国戦線時代の連隊長が蓮田に現れて「国策も大事だが、
お国のために尽くされた英霊の生家を踏みにじるような真似はしてはならない」と
税務署長に釘をさして神亀酒造はようやく存続が認められたというのである。
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# by munojiya | 2007-02-27 01:36 | Trackback | Comments(0)
原料はサウトキビのお酒(闘4)
日本のビールを飲んだ時に原料の中に「米」という文字を見つけて驚くことがある。
ビールは麦から造るものだと思っている常識が覆されるからである。
原材料に「コーン」ともあるから、ビールを蒸留したらバーボンになるのかと思ってしまう。
ビールメーカーにいわせると米を混ぜるとまろやかな味わいのビールになるのだという。

ビールは使用する麦芽の量が少なくなると発泡酒ということになる。
発泡酒は飲み手の懐具合を慮(おもんぱか)って原価をケチったビールのことである。
日本酒の場合は原価をケチるときには醸造用のアルコールを大量に加えるのである。
その表示が「醸造アルコール」となっていることに庵主は疑問をもたなかったものである。

が、それは正しくはサトウキビの廃糖蜜から造ったものだから(米等から造ることもある)
「サトウキビ」とするのが正しいのだということを「闘う純米酒」を読んでいて気付かされた。
アル添の清酒というのはラム酒を混ぜて造った酒なのである。
ビールの「米」を笑えないのである。

庵主は「米」を原料に使ったビールを米糠ビールと呼んで好んでいるのであるが、
「サトウキビ」清酒も第三の清酒と思って呑めば結構いけるのである。
もっとも、庵主はそういうお酒を好んでは呑まないが。
それを呑む前にうまい清酒を口にするから酒量の関係でそこまで辿り着けないのである。
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# by munojiya | 2007-02-26 00:11 | Trackback | Comments(0)